バイバイ

大切なイベントが終わるのを待って
楽しみにしていたイベントに間に合うように
父が逝った
一度目、会いに行った晩
帰り際に手を振ってくれた
「まだ逝かないで」とその笑顔に祈った
二度目、もう意識はなくて
もういいな、しんどいな、
よくがんばってくれたよね
って思いながら
やっぱり「まだ逝かないで」って虚ろな目に祈った

穏やかな顔だった
たくさんの苦しみのあった人生だったろうな
それでも穏やかな顔で眠った
楽しいの方が多くなってたんだよね、きっと
なんど思ったかしれない
あたしさえいなければ
この優しい父を苦しめなくてすむ

でも、最後のバイバイは
全てにバイバイだったね

もう二週間、まだ二週間
悲しいと日常を
行ったり来たりしてる
ふとした時に「もういない」が
悲しみに連れて行く
それでも繰り返しの中で
悲しいを日常が上回るんだろうな
そして、日常に埋もれた悲しいはきっと
少しずつ優しい思い出に変わるんだろうな
時々取り出そう
その時、悲しいが
楽しかったに変わってるといいな

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